第37回医療情報学連合大会

ご挨拶

2017年は、大きな転換の時とも言われています。世界的には、政治・経済がより内政を重視したものになり、これまでのグローバル化が後退し、不確実性が増す、との見方もあります。一方、わが国では、少子高齢化が加速し、2025年には団塊世代がすべて75歳以上になり、医療費を含む社会保障費が増大する一方で、それを賄う労働力が減少し、国の健康状態が悪化していきます。

ヒトは、その誕生以来、過酷な環境に適応して生存し、寿命を延ばしてきました。そのメカニズムは、状況を把握するセンサー、その情報を統合して意思決定するプロセッサー、そして支持された行動を行うエフェクターから成る情報システムです。この概念は、世界レベル、国レベル、地域レベル、施設・部門レベル、個人レベルでの最適なコントロールに適応されるべきで、医療情報学の根幹をなす論理です。この不確実な時代において、この事実をもう一度再確認すべきではないかと思います。

今回の大会のテーマは「医療情報学が紡ぐ『いのち・ヒト・夢』」です。知識・技術の高度化とともに生物学、医学、工学、経済学など関連諸科学の進歩は著しいものがあります。これらを縦糸として、医療情報学は横糸の役割を担って、生命現象や疾病本態の解明など「いのち」を、健康寿命の延伸、効率化と質を担保したヘルスケアシステムの構築など「ヒト」を、さらに究極的には個体の遺伝情報と生活環境情報を統合したプレシジョン医療など「夢」を実現するために、情報の統合、共有、活用を図る科学領域が医療情報学であることを「見える化」する大会となることを期待しています。

本年大会長は70歳、大阪大学医療情報部は設立30周年を迎えます。一つの区切りとして、本学術大会が今後の医療情報学発展のマイルストーンとなるよう、大阪大学医療情報学講座に事務局を設置して、全力を挙げて企画・運営に当たりたいと考えます。

医療情報学会および関連諸団体の会員の皆さま、行政、企業関係者の皆さまには絶大なるご指導ご支援を賜りたく、よろしくお願い申し上げます。

武 田  裕
第37回医療情報学連合大会(第18回医療情報学会学術大会)大会長
大阪大学名誉教授
滋慶医療科学大学院大学学長